機械・金属関係①鋳造

 鋳造と聞いてもピンとこない方も多いと思いますが、鋳造(ちゅうぞう)とは、金属や他の材料を液体の状態から型に流し込んで固める製造方法のことです。具体的には、溶けた金属や合金を特別な容器に入れ、それを型に流し込みます。この液体の金属が型の形に従って固まると、所望の形状やデザインを持つ製品ができあがります。

 身近な製品を上げると、鍋はフライパンなどの調理器具、自動車のエンジン部品、水道管や、渋谷駅の忠犬ハチ公などの銅像も鋳造で作らる製品となります。

 今回はそうした鋳造業界と技能実習生との歴史を掘り下げてみたいと思います。

 

日本の鋳造業の歴史

 日本の鋳造技術は古代から存在し、鉄や青銅などの材料を使った鋳造が行われてきました。特に鋳鉄の製造技術は日本独自の方法が発展しました。江戸時代には、鋳造技術は武器や農具、神社仏閣の鐘や銅像など多岐にわたって利用されました。

 近代化が進むと、鋳造技術は産業の基盤として重要な位置を占めるようになりました。特に戦後、自動車や建築、電子機器など多様な分野で鋳造製品の需要が増加し、日本の鋳造業は急速に成長しました。

鋳造業の現況

 そんな鋳造業界ですが、近年中国や他の新興国など、低コストで効率的な鋳造業を展開する国々との競争が激化しています。これにより、価格競争が激しくなり、日本の鋳造業者は競争力を維持するのが難しくなってきたことや、またその高度な技術や専門知識を有する職人の高齢化や人材不足が深刻な課題となっていました。

 しかしここでも外国人技能実習生達の活躍がありその人材不足が現在は改善されつつつあります。特に発展途上国からの技能実習生が、高度な技術と知識を学び、母国へ帰って産業の発展に寄与するケースが増えてきています。

 鋳造業界は自動化とデジタル化の波に乗って現在も変革を遂げています。3Dプリンティングやコンピュータ制御のロボティクスが、新たな生産方法をが出てくる中、伝統的な鋳造技術の重要性は依然として高く、大量生産だけでなく、少量多品種のニーズにも応える柔軟性が求められています。外国人技能実習生は、これらの伝統的な技術を守りながら、新しい技術にも対応するための人材を育成する役割を果たしています。