近年、日本の労働市場において、外国人労働者の受け入れがますます重要になっています。特に「技能実習」と「特定技能」の2つの制度は、企業が外国人材を受け入れる際に選択肢となる制度です。しかし、この2つの制度の違いを正しく理解していない企業も多いのが現状です。
本コラムでは、技能実習と特定技能の違い、特定技能1号と2号の違い、そしてそれぞれの制度でどのような業種・職種の受け入れが可能なのかを詳しく解説します。
1. 特定技能と技能実習の違いとは?
技能実習と特定技能は、いずれも外国人が日本で働くための制度ですが、目的や仕組みが大きく異なります。
項目 | 技能実習 | 特定技能 |
---|---|---|
目的 | 技能の習得と母国への技術移転(国際貢献) | 日本の人手不足解消 |
在留期間 | 最長5年(1年+2年+2年) | 1号:最長5年 / 2号:無期限 |
転職の可否 | 原則不可(受け入れ企業でのみ就労) | 1号:可能(同業種内) / 2号:自由に転職可 |
受け入れ企業の義務 | 技能習得の支援・指導が必須 | 技能実習のような教育義務はなし |
必要な試験 | なし(受け入れ基準を満たせばOK) | 日本語・技能試験に合格が必要 |
家族帯同 | 不可 | 1号:不可 / 2号:可能 |
💡 ポイント
✅ 技能実習は「育成」、特定技能は「即戦力」
✅ 技能実習生は基本的に転職できないが、特定技能は可能
✅ 特定技能2号なら家族の帯同が可能で、長期的な就労も可能
2. 特定技能1号と2号の違い
特定技能は、「特定技能1号」と「特定技能2号」の2種類があります。
① 特定技能1号とは?
特定技能1号は、「ある程度の専門知識や技能を持つ外国人」が対象です。
✔ 在留期間は最長5年(1年ごとの更新)
✔ 日本語試験(N4レベル)と技能試験の合格が必要
✔ 家族の帯同はできない
✔ 同じ業種内で転職は可能
② 特定技能2号とは?
特定技能2号は、「高度な専門技術を持ち、日本で長期的に働ける外国人」が対象です。
✔ 在留期間の制限なし(永続的に働ける)
✔ 高度な技能試験の合格が必要
✔ 家族の帯同が可能(配偶者・子供と一緒に暮らせる)
✔ 転職は自由にできる
現在、特定技能2号の対象職種は「建設」と「造船・舶用工業」のみですが、今後の拡大が検討されています。
💡 ポイント
✅ 特定技能1号は「期間限定」、2号は「長期就労」
✅ 2号は家族帯同が可能で、より安定した労働力確保ができる
✅ 現時点では2号の対象職種は限定されているため要注意
3. 特定技能でできる仕事(業種・職種一覧)
特定技能で受け入れ可能な業種は、現在12業種に限られています。
業種 | 仕事内容の例 |
---|---|
介護 | 高齢者の介護・日常生活の支援 |
ビルクリーニング | オフィスビルや商業施設の清掃 |
素形材産業 | 金属加工、鋳造、溶接など |
産業機械製造業 | 機械の組み立て・検査 |
電気・電子情報関連産業 | 電子部品の組み立て・修理 |
建設 | 型枠施工、鉄筋施工など |
造船・舶用工業 | 船舶の製造・修理 |
自動車整備 | 自動車の点検・修理 |
航空 | 空港でのグランドハンドリング |
宿泊 | ホテル・旅館のフロント業務 |
農業 | 施設園芸、畜産 |
漁業 | 養殖、漁業作業 |
💡 ポイント
✅ 特定技能は、日本の人手不足が深刻な業種に限定されている
✅ 基本的に「専門技能を要する職種」に限定され、単純労働は対象外
✅ 今後、特定技能2号の対象職種が拡大する可能性あり
4. 技能実習でできる仕事(業種・職種一覧)
技能実習制度で受け入れ可能な職種は87職種・156作業に細かく分類されています。以下に主な業種を紹介します。
業種 | 仕事内容の例 |
---|---|
機械・金属関係 | 溶接、金属プレス加工、旋盤加工 |
建設 | 型枠施工、鉄筋施工、塗装 |
繊維・衣服 | 縫製、織布 |
食品製造 | パン製造、ハム・ソーセージ製造 |
農業 | 施設園芸、畜産 |
漁業 | 沿岸漁業、養殖業 |
介護 | 高齢者の介護・日常生活の補助 |
自動車整備 | 車両の点検・修理 |
💡 ポイント
✅ 技能実習は「技能の習得」を目的とするため、実習計画が必須
✅ 転職は不可で、受け入れた企業でのみ働く
✅ 「単純労働」に見える職種でも、技能の習得が目的なら受け入れ可能
5. まとめ:企業が制度を選ぶポイント
💡 「技能実習」と「特定技能」、どちらを選ぶべきか?
- 長期的に安定した労働力を確保したいなら「特定技能」がおすすめ!
- 技能の育成と国際貢献を目的とするなら「技能実習」が適切!
- 転職や家族帯同を考えるなら「特定技能2号」も視野に入れる!
企業がどの制度を活用するべきかは、事業の目的や人材の活用方法によって異なります。適切な制度を選び、外国人労働者が安心して働ける環境を整えることが、企業の成長にもつながるでしょう。
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