外国人技能実習生制度は、日本の企業が発展途上国の人材を受け入れ、技術や技能を習得させることで国際貢献を果たすことを目的としています。しかし、技能実習生を受け入れるには特定の条件を満たした企業でなければならず、全ての業種・企業が対象ではありません。
本コラムでは、技能実習生を雇うことができる会社の条件、受け入れ人数のルール、受け入れができない企業の特徴、対象職種の一覧について詳しく解説します。
1. 技能実習生を雇う会社はどんな会社?
① 技能実習制度の目的を理解することが前提
技能実習制度は、単なる外国人労働者の受け入れ制度ではなく、発展途上国の人材育成を目的とした国際協力の制度です。そのため、技能実習生を雇う企業は、単なる労働力としてではなく、技能を適切に指導し、実習生が母国で活かせる技術を習得できる環境を提供することが求められます。
② 技能実習生を受け入れる企業の条件
技能実習生を受け入れるには、企業が以下の条件を満たしている必要があります。
✅ 一定の事業規模があること(小規模企業も可だが、基準あり)
✅ 技能実習を適切に指導できる体制が整っていること
✅ 技能実習計画を適正に実施できる環境があること
✅ 過去に労働関係法令違反がないこと
💡 実習生を適正に受け入れ、労働力ではなく「人材育成」を目的とした指導ができる企業が対象!
2. 受け入れ人数や条件もチェック!
① 技能実習生の受け入れ可能な人数
技能実習生の受け入れ人数は、企業の常勤職員数(日本人の従業員数)に応じて決められています。
常勤職員数 | 受入れ可能人数 |
---|---|
1~2人 | 受け入れ不可 |
3~5人 | 1人まで |
6~10人 | 2人まで |
11~20人 | 3人まで |
21~30人 | 5人まで |
31~40人 | 6人まで |
41人以上 | 常勤職員数の10%(最大50人まで) |
⚠ 注意点
- 常勤職員に対して受け入れ可能な技能実習生の割合が決まっているため、小規模企業では大量の受け入れはできません。
- 人数制限は「基本人数枠」であり、条件を満たせば追加枠が認められる場合もあります。
② 技能実習生の受け入れ条件
受け入れ企業には、以下の条件が求められます。
✅ 技能実習計画を作成し、監理団体(協同組合など)の支援を受ける
✅ 実習指導員(5年以上の経験者)と生活指導員を配置する
✅ 労働基準法や最低賃金を遵守すること
✅ 実習生の適切な生活環境を整える(寮の準備など)
💡 技能実習生の受け入れには、事前準備が必要!計画を立て、必要な体制を整えよう!
3. 技能実習生を雇えない会社の条件
技能実習生を受け入れられない企業もあります。以下のいずれかに該当する場合、技能実習生の受け入れは認められません。
① 労働法規違反がある会社
✅ 過去5年以内に労働基準法、最低賃金法違反などで行政指導を受けた企業
✅ 過去5年以内に不法就労助長罪で摘発された企業
→ 法令違反がある企業は受け入れ不可!
② 実習生を適切に指導できない会社
✅ 技能実習を指導できる技術者がいない(経験5年以上の指導員が不在)
✅ 実習生の生活管理を行う担当者がいない
→ 受け入れの準備が整っていない企業はNG!
③ 小規模すぎる会社
✅ 常勤職員が2人以下の会社は受け入れ不可
✅ 倒産リスクが高い企業(財務状況が不安定な企業)
→ 受け入れ人数基準を満たせない場合は受け入れできない!
💡 法令遵守・適切な指導体制・経営の安定性が求められる!
4. 技能実習生の受け入れが可能な職種一覧
技能実習生は、どの業種でも受け入れが可能というわけではありません。現在、技能実習制度の対象として認められている職種は以下の通りです。
① 製造業関連
✔ 機械加工
✔ 鋳造・鍛造
✔ 溶接
✔ プラスチック成形
✔ 電子機器組立
② 建設業関連
✔ 型枠施工
✔ 鉄筋施工
✔ 左官
✔ 配管
✔ 防水施工
③ 農業・漁業関連
✔ 施設園芸(ビニールハウス栽培など)
✔ 畜産(養豚・養鶏など)
✔ 漁業(定置網漁業など)
④ サービス業関連
✔ 介護
✔ 宿泊業(ホテル・旅館)
✔ 飲食料品製造業(食品加工・パン製造など)
⚠ 注意点
- 単純労働は対象外!(コンビニ、スーパーの店員などは不可)
- 特定の技術を要する職種のみが対象
💡 自社の業種が技能実習制度の対象かどうか、事前に確認しよう!
5. まとめ:技能実習生を受け入れる企業が守るべきポイント
✅ 技能実習生は「労働力」ではなく「人材育成」の対象!
✅ 受け入れ企業には人数制限や指導体制の条件がある!
✅ 労働法違反がある企業、財務状況が不安定な企業は受け入れ不可!
✅ 技能実習生の対象職種は限定されている!
技能実習生の受け入れを考えている企業は、制度のルールをよく理解し、適正な管理を行うことが重要です。適切な受け入れを実施することで、企業の国際貢献にもつながります。
💡 まずは監理団体や専門機関に相談し、適切な準備を進めましょう!