技能実習生の日本語

技能実習生の受け入れを検討されている企業様の中には、実習生の日本語能力へ不安も多いと思います。

基礎的な日本語力がついていないと、ひとつひとつの仕事を教えるにも苦労します。

技能実習生の日本語レベル等について、ご紹介します。

来日時の技能実習生の日本語レベル

ベトナムから来日する技能実習生の日本語レベルは、個人や研修機関によって異なりますが、一般的に以下の特徴があります:

1. 日本語能力試験(JLPT)の基準

多くの技能実習生は来日前に日本語を学習し、N4またはN5レベルに相当する日本語能力を目指します。

  • N5レベル:
    • 簡単な挨拶や日常会話ができる。
    • 基本的な語彙や文法を理解しているが、複雑な内容は難しい。
  • N4レベル:
    • より広い範囲の日常会話が可能。
    • 簡単な文章を読むことができる。

N4を取得している場合、日本での生活や基本的な業務に少し対応できる基礎があるとみなされます。


2. 実際の日本語レベル

  • 多くの実習生は来日前に数か月から1年程度、日本語を学ぶためのトレーニングを受けます。ただし、その期間や質は研修センターや送り出し機関によって異なります。
  • 会話力が中心に鍛えられることが多く、文法や漢字の読み書きについてはまだ不十分なことがあります。

3. 初期の課題

来日直後の実習生は以下のような課題に直面することが多いです

  • スピード: 日本人が話す速さについていけない。
  • 方言: 特に地方に配属される場合、方言に戸惑うことがある。
  • 業務用語: 職場特有の言葉や専門用語に慣れるのに時間がかかる。

4. サポートの必要性

企業や受け入れ団体によるサポートが重要です。

  • 日本語のフォローアップ研修の実施。
  • 日常生活や職場での日本語指導。
  • 通訳や翻訳アプリの活用。

全体として、来日時の日本語レベルは日常生活や基本的な業務に最低限対応できる程度ですが、現場での実践を通じて徐々に向上していくのが一般的です。

技能実習生への日本語の教え方のポイント

技能実習生の来日前の日本語レベルは、それぞれ異なります。

仕事中のメモや簡単な言葉で話すなどの現場レベルでの努力は大切ですが、日本語の基礎的な力はやはり文法や単語をしっかり勉強することによって身につけられます。

1.実習生のレベルを把握する

  • 初心者(N5レベル以下): 簡単な単語・フレーズの反復練習を重視。
  • 初級者(N4レベル): 基本的な会話ができるが、長い文章や敬語は難しい。
  • 中級以上(N3以上): 仕事での指示や説明を理解し、簡単なやり取りができる。

まずはどのレベルにいるのかを確認し、それに合わせた指導をするのが大事!

2.職場や生活で「すぐ使える日本語」を優先

  • 挨拶・基本のやり取り : 「おはようございます」「お疲れ様です」「よろしくお願いします」
  • 指示の聞き取りと確認 : 「これをしてください」➡「〇〇をしますか?」
  • 緊急時の対応 : 「助けてください」「火事です!」「ケガをしました」

技能実習生は日常会話よりも、職場で使う日本語を優先的に学ぶ必要があるでしょう。

3.視覚的に分かりやすく

  • 絵カード: 仕事の手順や道具の名前をイラスト付きで説明。
  • 動画・実演: 言葉だけでなく、実際に動作を見せながら説明すると理解しやすい。

実習生の多くは漢字が苦手なので、イラスト・写真・ジェスチャーを活用することが重要!

4.短い文・シンプルな言い方を意識

  • ❌「この作業が終わったら、次にこの部品を取り付けてください。」
  • ✅「これが終わったら、次にこれをつけてください。」

長い文章や敬語は理解が難しいので、最初はシンプルな日本語を使うのがポイント。

5.繰り返しの練習を取り入れる

  • ロールプレイ: 実際の職場の会話を想定した練習を行う。
  • 聞く・話す練習を多めに: 書くよりも「聞いて理解する」「話して伝える」練習が大事。
  • 毎日少しずつ: 1回でたくさん教えようとせず、毎日短い時間でも継続して学習する。

6.モチベーションを維持する

  • 褒める: 少しでも上手に話せたら「上手ですね!」と励ます。
  • 楽しく学べる環境: 日本語だけでなく、日本の文化や習慣も教えると興味を持ちやすい。
  • 成功体験を積ませる: 「できた!」という実感があると、日本語の学習意欲が上がる。

7.習慣的に使える場を作る

  • 「毎朝、日本語で一言話す」など、小さなルールを決める。
  • 実習生同士でも日本語を使うように促す。
  • 日本人の同僚が少しゆっくり話すように意識すると、会話の練習になる。

職場や寮で、日本語を話す環境を作ることも大切になります。

技能実習生には、実際に使える日本語を 短く・シンプルに・繰り返し 教えるのがポイント。
視覚的なサポートやロールプレイを活用し、楽しく学べる環境を作ると習得が早くなります。

組合では、技能実習生に向けた日本語勉強の資料などをご準備していますので、実習開始後のフォローもお任せ下さい。