勤務する日本人からみる、各国の外国人技能実習生への印象

日本における外国人技能実習生制度は、国際的な技術移転と発展途上国の人材育成を目的としています。​その中で、各国から来日する実習生は、それぞれの国民性や文化的背景を持ち込み、日本の職場で独自の影響を与えています。​本稿では、日本人勤務者の視点から、主要な技能実習生の出身国別に印象や特徴を整理し、受け入れ企業での実務経験を通じて得られた知見を共有します。​


🇻🇳 ベトナム人技能実習生の印象

ベトナムからの技能実習生は、日本国内で最も多く、特に製造業や農業分野で活躍しています。​彼らの特徴として、勤勉さや真面目さ、そして家族を支えるための強い意志が挙げられます。​多くの実習生が、家族への仕送りを目的に来日しており、そのため、仕事に対する姿勢は非常に真剣です。​

また、ベトナム人は日本の文化や習慣に対して高い適応力を持っており、礼儀正しく、指示に対しても素直に従う傾向があります。​ただし、注意点としては、彼らは「わかりました」と言いながらも、実際には理解していない場合があるため、確認を怠らないことが重要です。​


🇨🇳 中国人技能実習生の印象

中国からの技能実習生は、製造業や建設業など、幅広い分野で活躍しています。​彼らの特徴として、自己主張が強く、業務に対しては明確な指示を求める傾向があります。​そのため、指示が不明確だと誤解やミスが生じる可能性があるため、コミュニケーションの際には注意が必要です。​

また、中国人は損得勘定が明確であり、契約や給与などの取り決めに対しても厳格に確認する傾向があります。​一度信頼関係を築くと、非常に忠実で協力的なパートナーとなります。​


🇵🇭 フィリピン人技能実習生の印象

フィリピンからの技能実習生は、介護やサービス業など、人と接する仕事で多く見られます。​彼らの特徴として、明るく社交的で、コミュニケーション能力が高い点が挙げられます。​英語が公用語であるため、言語の壁が低く、意思疎通が比較的容易です。

ただし、時間や物事に対してルーズな一面があり、遅刻や締め切りの遵守に関しては注意が必要です。​また、キリスト教徒が多いため、クリスマスやイースターなどの宗教行事に対する配慮が求められます。​


🇮🇩 インドネシア人技能実習生の印象

インドネシアからの技能実習生は、農業や製造業などで活躍しています。​彼らは温厚で協調性が高く、助け合いの精神を大切にする傾向があります。​また、親日的な文化背景を持ち、日本の習慣や文化に対して高い適応力を示します。​

しかし、のんびりとした性格から、時間に対してルーズな一面があり、業務の進行に影響を及ぼすことがあります。​また、イスラム教徒が多いため、礼拝や食事制限など、宗教的な配慮が必要です。


🇹🇭 タイ人技能実習生の印象

タイからの技能実習生は、農業やサービス業などで見られます。​彼らは「微笑みの国」とも称されるように、穏やかでのんびりとした性格が特徴です。​仏教徒が多く、心の平穏を大切にするため、ストレスの少ない環境での作業を好みます。

その反面、時間や物事に対してルーズな一面があり、遅刻や締め切りの遵守に関しては注意が必要です。​また、感情を表に出さないため、困難な状況でも表情に変化が少なく、気づかれにくいことがあります。​


🇰🇭 カンボジア人技能実習生の印象

カンボジアからの技能実習生は、農業や製造業などで活躍しています。​彼らは温和で協調性が高く、家族や仲間との絆を大切にする傾向があります。​また、親日的な文化背景を持ち、日本の習慣や文化に対して高い適応力を示します。​

しかし、学歴や所得、身なりで相手の身分を判断する傾向があり、見栄やプライド意識が強い一面があります。​これにより、格差社会における気質の違いが表れることがあります。​

📝 総括

外国人技能実習生として日本で働くことは、各国の文化や価値観を尊重しながら、技術や知識を習得する重要な経験です。しかし、その文化的背景や国民性によって、実習生たちが職場で示す姿勢や行動には大きな違いが見られます。これらの違いを理解することで、日本の受け入れ企業は、実習生がより効果的に職場に適応し、生産性を高めるためのサポートを行うことができます。

たとえば、ベトナム人実習生は勤勉で真面目であり、家族を支えるために働くという強い意志を持っていますが、時には指示の理解にギャップが生じることがあります。中国人実習生は自己主張が強く、指示に対して明確な確認を求めることが多い一方で、信頼関係が築ければ非常に忠実で協力的です。フィリピン人は社交的でコミュニケーション能力が高いものの、時間や物事に対するルーズな一面も見られます。インドネシア人は温厚で協調性が高いものの、時間に対しての柔軟さが求められる場合があります。タイ人は穏やかで仏教的な精神を持ち、ストレスの少ない環境で働くことを好みますが、時間管理に関しては注意が必要です。カンボジア人は家族や仲間との絆を重視し、温和で協調性が高いものの、格差意識が影響することがあります。

各国の実習生が持つ文化的背景や個性を理解し、それに基づいて柔軟な指導やサポートを行うことが、彼らの仕事に対する姿勢や生産性を最大限に引き出す鍵となります。日本の企業にとって、これらの違いを受け入れ、異文化理解を深めることが、グローバル化が進む現代社会において重要な要素となるでしょう。