外国人技能実習生の有給・年金・保険について

技能実習生を受け入れる企業にとって、「給与管理」だけでなく「有給休暇」「年金」「保険」の適切な取り扱いも重要です。これらの制度を正しく理解し、適正に運用することで、技能実習生が安心して働ける環境を整えることができます。本コラムでは、外国人技能実習生の「有給休暇」「年金」「保険」について、企業が知るべきポイントを詳しく解説します。

1. 技能実習生の有給休暇について

① 技能実習生も有給休暇の対象

日本の労働基準法では、外国人技能実習生も日本人と同様に有給休暇を取得する権利があります。有給休暇(年次有給休暇)は、雇用開始から6か月経過し、全労働日の8割以上出勤した場合に付与されます。

② 有給休暇の日数

有給休暇の日数は、雇用年数に応じて以下のように増えていきます。

勤続年数有給休暇日数
6か月10日
1年6か月11日
2年6か月12日
3年6か月14日
4年6か月16日
5年6か月18日
6年6か月以上20日

※技能実習期間は最長5年のため、多くの実習生は10日~16日程度の有給休暇が発生することになります。

③ 有給休暇の取得ルール

技能実習生が希望する日に取得可能(ただし、業務に著しい支障がある場合は別日へ変更可)
有給休暇を理由に解雇や減給をすることは禁止
使用期限は2年間(消滅時効あり)

💡 ポイント:有給のルールを説明し、適切な取得を促すことが大切!


2. 技能実習生の年金(厚生年金)について

① 技能実習生も厚生年金に加入が必要

技能実習生も日本の労働者として扱われるため、厚生年金への加入が義務となります。これは日本の社会保険制度の一環であり、企業と技能実習生の双方が保険料を負担します。

② 厚生年金保険料の負担額

厚生年金の保険料は、給与の約18.3%(企業と技能実習生が半分ずつ負担) です。

例)月収18万円の場合の保険料

  • 総額:約33,000円
  • 企業負担:約16,500円
  • 技能実習生負担:約16,500円(給与から天引き)

③ 技能実習終了後の「脱退一時金」

技能実習生は最長5年で帰国するため、日本の年金を将来的に受給できません。しかし、一定の条件を満たせば、支払った年金の一部を「脱退一時金」として請求できます。

▶ 脱退一時金の概要

  • 帰国後2年以内に申請が必要
  • 支払った年金の50%程度が返金される
  • 申請は本人が行う(企業がサポートすると親切)

💡 ポイント:脱退一時金の制度を説明し、申請手続きをサポートすると、技能実習生の満足度が向上!


3. 技能実習生の保険制度について

技能実習生も日本の労働者と同じように、健康保険・雇用保険・労災保険に加入する必要があります。

① 健康保険

健康保険は、技能実習生が病気やケガをした際に医療費を軽減するための制度です。

保険料:給与の約10%(企業と実習生で折半)
医療費の自己負担:3割負担(70%は保険でカバー)
扶養家族の適用:家族が来日する場合、健康保険に加入可能

例えば、病院で1万円の治療を受けた場合、実習生が支払うのは3,000円のみとなります。

💡 ポイント:健康保険証を必ず持たせ、病院の利用方法を説明する!

② 雇用保険

雇用保険は、失業時の給付金や職業訓練を受けるための制度ですが、技能実習生は基本的に失業保険の対象外です。ただし、以下の場合に限り、給付を受けることができます。

企業の倒産や契約途中の解雇(技能実習計画に基づく場合は対象外)

雇用保険の保険料は、給与の0.6%程度(企業と技能実習生で分担)です。

③ 労災保険

労災保険は、業務中の事故やケガを補償する制度です。

企業が全額負担(実習生の負担なし)
治療費・休業補償・障害補償などをカバー
仕事中のケガだけでなく、通勤中の事故も対象

企業としては、万が一に備えて適切な労働環境を整え、安全管理を徹底することが大切です。


4. まとめ:適正な管理が企業の信頼につながる

技能実習生の「有給休暇」「年金」「保険」について適正に運用することは、企業の義務であり、実習生の安心にもつながります。

💡 本記事のポイントまとめ
有給休暇は6か月勤務で10日付与され、適正に取得させる必要がある
厚生年金の保険料は給与の18.3%で、帰国後に「脱退一時金」を申請できる
健康保険・雇用保険・労災保険に加入が必要(保険料は企業と実習生で分担)
実習生が制度を理解できるよう、説明とサポートを行うことが重要

適正な管理を行い、技能実習生が安心して働ける環境を整えることで、企業の信用力向上にもつながります。今一度、制度の運用を見直し、適切な対応を心がけましょう!